お詫びと訂正

 

 

お詫びと訂正

『サヨナラ、民芸。こんにちは、民藝。(改訂新版)』についてお詫びと訂正

本書、松井健氏原稿「六つの対話へのプロムナード」において、編集過程での
不手際のため、著者の見解を充分に反映した文面を掲載できておりませんでし
た。著者及び読者のみなさまに深くお詫びするとともに下記に記載して訂正とさ
せていただきます。

付記    

私の「六つの対話へのプロムナード」は、平成二十三年(二〇一一)年刊の単行本初版『サヨナラ、民芸。こんにちは、民藝。』のために書き下ろされ、このあとに六つの対話が収載されて印刷されました。今年(平成二十八年)になって、編集の上野昌人氏より「六つの対話へのプロムナード」執筆からの時間のラグのために不適切になった箇所を改め、写真を一部入れ替えて重版したいむねの要請がありました。重版ということで、構成の変化などは考えることなく、許諾したのですが、手元に送られてきたものは、『サヨナラ民芸。こんにちは民藝。』の「改訂新版」であり、巻末に猪谷聡氏の「『サヨナラ』と『こんにちは』の間を超えて」という所論が加えられたかたちの構成になっていました。このことについては、私は一切なにも知らされていませんでした。  
 私が、巻頭に「六つの対話へのプロムナード」を書き、巻末に猪谷氏が「『サヨナラ』と『こんにちは』の間を超えて」を書けば、私と猪谷氏の二人が、六つの対話のテーマである民藝と民芸について、また今日の(手)工芸のおかれている状況について、何らかの合意や方向性についての共感をもっているかの印象を読者に与えることを危惧して、改訂新版の成立事情に関して「付記」を公表することを希望した次第です。  
 私はこれら六つの対話の価値は、きわめて個別的で具体的な、現在の民藝と民芸の錯綜、今日の(手)工芸のもつれ混み入った状況について、対話者がその全体験を素直に、そして彼(女)の生き様をかけて真摯に語りあっているところにあると信じています。読者諸氏が、彼らの生き方と個々の状況との格闘に耳を傾けられることを期待します。  
 私自身の民藝と民芸についての思索は、すでに『民藝の擁護 基点としての〈柳宗悦〉』(里文出版 二〇一四年)にまとめていますし、民藝を生きることが現実問題としていかに困難であるかについて、沖縄の一人の陶工(であり、人間国宝となった)の人生を追ってまとめ、『金城次郎とヤチムン 民藝を生きた沖縄の陶工』(榕樹書林 二〇一六年)として出版していますので、申し添えておきます。  

二〇一六年一〇月
東京大学名誉教授 松井 健